ITトレンドEXPO 2022 Springで、橋下徹氏の講演を視聴しました。
良い話が聴けたのでここに記録します。
ITトレンドEXPOとは、株式会社イノベーションが運営するサイト「ITトレンド」が主催するオンライン展示会です。基調講演やセッションプログラム等が用意されていて、無料で視聴することができます。2022年3月8日~3月11日に開催されているITトレンドEXPO 2022 Springに登録して話を聴いてみました。
橋下徹氏といえば、テレビ番組「行列のできる法律相談所」で弁護士としてレギュラー出演していたことを記憶しています。また、大阪府知事、大阪市長を経験されています。それと、政党「維新の会」の代表でもありました。最近は、テレビに出てよく炎上しています。行動力がすごい印象があります。
そんな橋下氏が、ITトレンドEXPO 2022 Springで、「日本の新しい道」×「ビジネス」~橋下流・結果を出す仕組みの作り方~、と題して講演をされました。その内容は、イノベーションを起こすためには、こういう組織を作るといいよ、という話でした。
イノベーションを起こす組織。それはどのような組織か。結論から言うと、心理的安全性のある組織です。「心理的安全性」とは何かというと、言いたいことが言える、やりたいことがやれる状態のことです。そのような組織を大阪市長時代に作ったそうです。
企業で会議を開くと、皆が空気を読んで反対意見を言わない、ということになりがちです。橋下氏は、それではいけないと言います。皆が同じ意見だとイノベーションが起こらない。反対意見を戦わせてこそ、アイデアがブラッシュアップされる。反対意見が出るようにするためには、心理的安全性が担保された仕組み作りが必要とのことです。
心理的安全性を担保するにはどうするか。それは、決定権者を明確に決めることです。リーダーは「私が決定権者です」と明言する。そして、①決定するまではメンバーは自由に発言して良いこと(決定するまではリーダーは発言しない)、②決定したら自分の意見と違っていても決定事項に従うこと、をリーダーはメンバー全員と約束します。これら2つによって、心理的安全性が担保されるとのことです。
このような約束をして、大阪市役所では賛成意見者と反対意見者とで意見を戦わせ、議論が熟したら橋下氏が決定する、という仕組みができました。この仕組みによって、これまで不可能だったことが可能になっていきます。そのような事例の話がいくつかありました。
事例の一つに西の丸庭園の話があります。西の丸公園というのは大阪城天守閣の下にある広くて芝生の緑が美しい庭園です。大阪市役所の公園管理課(だったと思います)が管理しています。公園管理課には、西の丸庭園をイベントに使わせて欲しいという依頼が常にあるそうです。しかしながら、公園管理課はこれまでそういった依頼を全て却下してきました。理由は、大勢の人が芝生を踏み荒らしたら豊臣秀吉公がお怒りになる、です。
そこで橋下氏はこの件について会議を開きます。心理的安全性を担保された状態で、西の丸公園でイベントをすることに賛成する意見と反対する意見(主に公園管理課の意見)とがたくさん出ます。その結果、なんとモトクロスバイクの競技のイベントが実現したのだそうです。
モトクロスバイクの競技をするには、西の丸公園に土を盛ってバイクのジャンプ台を作る必要があります。そうすると計算上、土の重さで石垣が壊れるのでダメです。一方、全部を土にする必要はなくて、発泡スチロールを積んでその上から土をかぶせて軽量化すれば良い、というアイデアが出ます。このアイデアは採用されました。他にも様々な課題がありましたが、賛成派と反対派の意見を戦わせることで解決し、最終的にはモトクロスバイクの競技のイベントが決定されました。これまで全て却下されていたイベントが承認されたかと思うと聴いてて嬉しくなりました。こんな風にイノベーションが起こせる組織って面白いと思います。
これは私の感想ですが、橋下氏のこの仕組みは裁判に似ていると思います。当事者対立構造で議論し、議論が熟したら裁判官が判決する。この仕組みを応用して、賛成派と反対派とが議論し、リーダーが決定するようにしたのだと思います。さすが弁護士です。
リーダーが、「私が決定権者です」と言うと、何となく独裁者っぽい響きがあります。しかし、リーダーはあくまで決定権者であって議論には参加しないことを約束した場合には、心理的安全性が担保され、自由な発言ができます。逆に、あいまいなままだとメンバーは空気を読むようになり、自由な発言ができなくなります。予想と逆の結果になるのです。
話は変わりますが、橋下市長に提案を持ってくるときは、反対意見のある者を連れてくるように言っていたそうです。よくあるパターンは、同じ意見の者を大勢連れてくることです。これでは意味がないと橋下氏はいいます。なぜなら、賛成派と反対派とが意見を戦わせなければ正しい決定をできないからです。徹底してますね。
なお、リーダーが議題に対してたたき台を作るパターンがあります。この場合、リーダーのたたき台に皆の意見が引っ張られることが考えられるがどうすべきか、という質問がありました。これに対し、橋下氏は相対するたたき台を2つ用意するべきだと回答していました。そうすれば偏った意見に引っ張られない。たたき台についても対立構造が応用できるんですね。
以上です。心理的安全性が担保された仕組み作り。参考になりました。
良い話が聴けたのでここに記録します。
ITトレンドEXPOとは、株式会社イノベーションが運営するサイト「ITトレンド」が主催するオンライン展示会です。基調講演やセッションプログラム等が用意されていて、無料で視聴することができます。2022年3月8日~3月11日に開催されているITトレンドEXPO 2022 Springに登録して話を聴いてみました。
橋下徹氏といえば、テレビ番組「行列のできる法律相談所」で弁護士としてレギュラー出演していたことを記憶しています。また、大阪府知事、大阪市長を経験されています。それと、政党「維新の会」の代表でもありました。最近は、テレビに出てよく炎上しています。行動力がすごい印象があります。
そんな橋下氏が、ITトレンドEXPO 2022 Springで、「日本の新しい道」×「ビジネス」~橋下流・結果を出す仕組みの作り方~、と題して講演をされました。その内容は、イノベーションを起こすためには、こういう組織を作るといいよ、という話でした。
イノベーションを起こす組織。それはどのような組織か。結論から言うと、心理的安全性のある組織です。「心理的安全性」とは何かというと、言いたいことが言える、やりたいことがやれる状態のことです。そのような組織を大阪市長時代に作ったそうです。
企業で会議を開くと、皆が空気を読んで反対意見を言わない、ということになりがちです。橋下氏は、それではいけないと言います。皆が同じ意見だとイノベーションが起こらない。反対意見を戦わせてこそ、アイデアがブラッシュアップされる。反対意見が出るようにするためには、心理的安全性が担保された仕組み作りが必要とのことです。
心理的安全性を担保するにはどうするか。それは、決定権者を明確に決めることです。リーダーは「私が決定権者です」と明言する。そして、①決定するまではメンバーは自由に発言して良いこと(決定するまではリーダーは発言しない)、②決定したら自分の意見と違っていても決定事項に従うこと、をリーダーはメンバー全員と約束します。これら2つによって、心理的安全性が担保されるとのことです。
このような約束をして、大阪市役所では賛成意見者と反対意見者とで意見を戦わせ、議論が熟したら橋下氏が決定する、という仕組みができました。この仕組みによって、これまで不可能だったことが可能になっていきます。そのような事例の話がいくつかありました。
事例の一つに西の丸庭園の話があります。西の丸公園というのは大阪城天守閣の下にある広くて芝生の緑が美しい庭園です。大阪市役所の公園管理課(だったと思います)が管理しています。公園管理課には、西の丸庭園をイベントに使わせて欲しいという依頼が常にあるそうです。しかしながら、公園管理課はこれまでそういった依頼を全て却下してきました。理由は、大勢の人が芝生を踏み荒らしたら豊臣秀吉公がお怒りになる、です。
そこで橋下氏はこの件について会議を開きます。心理的安全性を担保された状態で、西の丸公園でイベントをすることに賛成する意見と反対する意見(主に公園管理課の意見)とがたくさん出ます。その結果、なんとモトクロスバイクの競技のイベントが実現したのだそうです。
モトクロスバイクの競技をするには、西の丸公園に土を盛ってバイクのジャンプ台を作る必要があります。そうすると計算上、土の重さで石垣が壊れるのでダメです。一方、全部を土にする必要はなくて、発泡スチロールを積んでその上から土をかぶせて軽量化すれば良い、というアイデアが出ます。このアイデアは採用されました。他にも様々な課題がありましたが、賛成派と反対派の意見を戦わせることで解決し、最終的にはモトクロスバイクの競技のイベントが決定されました。これまで全て却下されていたイベントが承認されたかと思うと聴いてて嬉しくなりました。こんな風にイノベーションが起こせる組織って面白いと思います。
これは私の感想ですが、橋下氏のこの仕組みは裁判に似ていると思います。当事者対立構造で議論し、議論が熟したら裁判官が判決する。この仕組みを応用して、賛成派と反対派とが議論し、リーダーが決定するようにしたのだと思います。さすが弁護士です。
リーダーが、「私が決定権者です」と言うと、何となく独裁者っぽい響きがあります。しかし、リーダーはあくまで決定権者であって議論には参加しないことを約束した場合には、心理的安全性が担保され、自由な発言ができます。逆に、あいまいなままだとメンバーは空気を読むようになり、自由な発言ができなくなります。予想と逆の結果になるのです。
話は変わりますが、橋下市長に提案を持ってくるときは、反対意見のある者を連れてくるように言っていたそうです。よくあるパターンは、同じ意見の者を大勢連れてくることです。これでは意味がないと橋下氏はいいます。なぜなら、賛成派と反対派とが意見を戦わせなければ正しい決定をできないからです。徹底してますね。
なお、リーダーが議題に対してたたき台を作るパターンがあります。この場合、リーダーのたたき台に皆の意見が引っ張られることが考えられるがどうすべきか、という質問がありました。これに対し、橋下氏は相対するたたき台を2つ用意するべきだと回答していました。そうすれば偏った意見に引っ張られない。たたき台についても対立構造が応用できるんですね。
以上です。心理的安全性が担保された仕組み作り。参考になりました。
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